• ながら八千代

純喫茶わらびの喫茶記録帖


純喫茶わらびの喫茶記録帖






1967年(昭和42年)開業。2020年3月末日に閉店。


はじめて入店したのは昨年の9月のこと。

海道の9月は内地に比べて涼しいと聞いたけど、歩いたからなのか熱いし喉が渇く。

この喫茶店だけはどうしても入っておきたかった。


コーヒーを飲むつもりでいたけれど、気が変わり、二人とも冷たいカルピスとソーダ水を注文。ほぼほぼ一気飲みだった。




店内入って左側の席、ゴシック柄(?)の布張りの壁側の席。

額縁には2006年(平成18年)5月22日(月)の夕刊の切り抜きが飾られている。写真に写る人物は純喫茶わらびを創業したマスター。マスターは亡くなり、そのあとを奥様が継いでいる。

新聞の周りにはほかにも写真が数点飾られていた。一度、マスターが淹れたコーヒーも味わってみたかった。


わたしたちを気遣って、扉を開けてくれた。優しい風が吹き込む。店内はわたしたちだけだたので、飾られた新聞記事のことなどを話した。


この絵は、わたしたち含め、その後来店したお客様にコーヒーを提供したあと一息つくママの様子を描いた。なぜか惹かれるものがあった一コマ。


来店からしばらくして、わらびが閉店するうわさを聞いた。この時閉店を決意されていたかはわからないが何か感じるものがある後ろ姿で心に残った。






その後、ご縁があってもう一度来店することができた。

閉店まであと1か月となった頃だった。

※ちょうど札幌市が緊急時亭宣言が解除となった頃だった。もちろん旅行での帰省ではなく、身内の不幸で急遽帰省することとなった。喫茶店どころではない状況下だが、義母の計らいで気分転換で散歩に出かけてコーヒーを飲むことにした。


以前座った席は先客がいたため、店内入って右、壁側の席に座った。

以前反対側しか見えなかったので気づかなかったが、店内中央のパーテーションだと思っていたところは本棚でいくつか本が置かれていた。週刊誌や小説、グルメ誌、地元の中学生が書いた(うろ覚え)本などが置かれていた。


見上げれば煌びやかなシャンデリアが輝く。店内は薄暗い中にオレンジ色の光が浮かぶ。

今回はコーヒーを注文。苦みが強く濃いコーヒーだった。


「もう閉店されるんですね。」そういうと「うん。もういい(笑)。」と笑顔を見せたママ。すがすがしい返事だった。どこか寂し気な気もした。「遠くからありがとうございました。」


狸小路の喫茶店で住み込みで働いていたマスターが、1967年に独立して開業させてから53年間続いた純喫茶わらび。

ふと見たメニュー表には一言、こんな言葉が添えられていた。


「きっといいことあるはずだから」


少しだけどこの喫茶店の歴史に触れることができてうれしく思う。最後にここでいただいた一杯はこれからもずっと「心に残る一杯」として残っていくだろう。


ながら八千代






【純喫茶わらび】

北海道札幌市中央区南2条西13丁目


―メニュー―


・コーヒー 370円

・紅茶   400円

・ミルク  400円

・ココア  500円

・カフェオレ 500円

・アイスコーヒー 470円

・コーラー 370円

・カルピス 400円

・ソーダ水 400円

・バタートースト 370円

・ジャムトースト 420円

・チーズトースト 520円


モーニングサービス(11時まで)

・コーヒー 320円

・トーストセット 500円


メニューは飲み物とトースト類のみ。来店記念にマッチを戴きたかったけれど「マッチブームでもうなくなっちゃったのよ~。ちょっと来るのが遅かったわね。」とママが笑いながら話す。



【参考文献】

・北海道新聞(2006年(平成18年)5月22日(月))夕刊

・さっぽろ街図鑑2012 ちらり見つけたうらっぽろ(札幌市教育委員会中央図書館著)




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