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執筆者の写真オクヤマ

喫茶記録帖「純喫茶ナポリ」

岐阜県大垣市「純喫茶ナポリ」

※2019年6月末閉店


 大垣市南高橋町、古いビルとビルの間にその小さな喫茶店はあった。

 純喫茶ナポリ。創業は昭和34年。残念ながら令和元年6月末に閉店してしまった。

 

 きちんと喫茶店の記録をとろうと心に決める前のため、特に取材などはしておらず特別なエピソードがあるわけではない。「心に残る喫茶店」として記録しておきたい。


 2018年最後の訪問時のカウンターの様子。入店後すぐに常連の男性がカウンター席へやってきた。「最近〇〇さん見んけどどうしとる?」など他の常連客の話題で盛り上がっているようだった。そんな一コマ。ナポリは常に1人は常連のお客さんがいて、入れ替わり立ち替わり。近所の人々の集会所だった。


 この日はまだ暑く、アイスコーヒーをいただいた。「今日は暑いですね。大丈夫?お店の中暑くない?」といつも通りの気遣い。コーヒー注文後、ママさんと一言二言、簡単な世間話をしてゆったりとした時間を過ごした。


 この数週間後にわたしは岐阜を離れてしまったため、その後はなかなか訪問できぬままだった。岐阜を離れる前にここはもう一度訪問しておきたかった。本当に行っておいてよかった。


 以前は大量の通行手形が飾らせていた。この通行手形はママさんが趣味で集めたもの。コーヒーを飲みながらぼーっとしていたら、水を補充しに来てくださったママさんが「珍しいでしょ?」と軽く話してくれたことを覚えている。後日、別の調べ物で西美濃エリアの情報誌「西美濃わが街」の第42号(1980年11月)にこの通行手形についてのインタビューが掲載されていたのを見つけた。今更願っても叶わないがもう少し詳しくお話を伺えたら良かったなと後悔。コミュニケーションが下手だ。今は他にもお伺いしたいことはたくさんある。


ナポリで使用されていたコーヒーはイトウコーヒーのもの。イトウコーヒーのブログに純喫茶ナポリについて詳しく描かれている。







 なぜかナポリは閉店後も跡地についつい立ち寄ってしまう。何度来ても営業していないと分かっているのだが...。

 建物の老朽化による閉店であったが、建物の解体はまだ進んでいない。建物が解体されてしまったらこの風景が本当に見られなくなってしまう。今あるうちは目に焼き付けておきたい。


【純喫茶ナポリ・あづまビルのいま】





 窓際の席、壁に貼られていた言葉が心に残っている。

「気は長く 心は丸く 腹を立てず 口つつしんで にっこり笑顔^_^」

 おそらくママさんの手書きだろう。いつも忘れずにいたい言葉だ。





【追記】

 いつもTwitterでお世話になっているカロちゃんさん(@gahojin_ogaki)からナポリの解体工事が始まったとご連絡が。新しい記事でまとめたいと思う。

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